真珠の色には白やグレー、黒など、真珠には様々な美しい色があります。実は真珠は、その種類によって色や輝きかたが異なります。また、調色や染色、着色など、色の出し方によっても印象が変わります。真珠の色について知り、自分にぴったりの価値ある真珠を選びましょう。
真珠の品質については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。▶真珠の品質は何で決まる?色・巻き・光沢(テリ)など、真珠の価値が決まる7項目を徹底解説
目次
真珠の色の加工とは?どのような技術がある?
自然の中で育まれる真珠は、美しい宝石として市場に出る前に、色を整えたり改良したりと、わずかに加工処理を行っています。それぞれの加工処理について見ていきましょう。
調色と無調色

真珠の持つ美しさを最大限に引き出すために、色合いや外観をわずかに整える処理のことを、調色と呼びます。調色と言っても、真珠本来の色を変えるわけではないのが染色との大きな違いです。
一方、調色を行わない真珠のことを無調色真珠と呼びます。調色真珠と同様にシミ抜きなどの前処理加工は行われています。(※写真左:無調色/右:調色)
なお、調色と無調色については、次の記事で詳しく解説しています。▶︎無調色真珠とは?調色との違いと見分け方、メリット・デメリットを解説
コバルト処理

真珠に放射線を照射して色を変える処理のことで、人工的にグレーパールを作り出す時などに用いられる方法です。
真珠の核に放射線を照射して黒くすることで、真珠層の中で光が反射・屈折し、人の目にはグレーに見えるようにしています。ジャガイモの発芽抑制など食品にも使用される技術ですので人体への影響はまったくありません。(※写真左:コバルト・テリ良い/コバルト・テリ悪い)
染色

染色とは、天然染料や合成染料を使用して、真珠の色を変える処理のことです。かつては染料溶液の中に真珠を浸して真珠を染めていていましたが、最近では高温・高圧で真珠の外側(表面)から染める方法もとられています。(※写真左:染色・テリ良い/右:染色・テリ悪い)
着色

化学薬品や、染色以外の方法で真珠の色を変える処理のことで、硝酸銀による着色方法が一般的です。ただし、着色は強い処理方法なので、真珠を傷めてしまうこともあります。
グレー系統の黒蝶真珠をチョコレート色に加工したり、クリーム色の白蝶真珠を金色に処理することもあります。(※写真左:着色・テリ良い/右:着色・テリ悪い)
漂白・シミ抜き

ほとんどの真珠は、貝から採取した段階ではシミや汚れがあります。そのため、真珠層の中にある有機物を除去したり、色素を除去することで真珠の色味を調整します。この処理を「漂白」と呼びます。
研磨
真珠の表面にわずかな凹凸がある場合、光の反射や透過に影響が出てテリが低下します。そのため、真珠層の表面を滑らかに整える「研磨」の処理を行うことで、真珠の持つテリが最大限に生かされるようにします。
真珠の種類とその色の特徴とは
真珠の色は、真珠の種類によっても異なります。また、同じホワイト系の真珠であっても、母貝の種類によって輝きかたも変わります。
アコヤ真珠の色

真珠と聞いて最初にイメージする人が多いのが、日本で古くから採取されているアコヤ真珠でしょう。色味はホワイト系が一般的で、上質なアコヤ真珠は雪のような美しさを持ちます。
また、アコヤ真珠の特徴のひとつに、虹色の光沢を放つオリエント効果があります。これは、何層にも重なった真珠層が光を反射することで、アコヤ真珠特有の虹色の干渉色を生み出すことで、その神秘的な輝きは多くの人に愛されています。
白蝶真珠の色

シロチョウ貝を母貝に持つのが、白蝶真珠です。大粒で重厚感のある輝きを持つのが、白蝶真珠の特徴で、母貝の種類により2種類の色があります。
シルバーリップ
シロチョウ貝のうち、内側の縁が銀色のもの(シルバーリップ)から生まれるのがホワイト・シルバー系の白蝶真珠です。アコヤ真珠と同様のホワイト系ですが、優しく控えめな輝きを持つアコヤ真珠と比べて、白蝶真珠は格調高く高級感のある印象になります。
ゴールドリップ
シロチョウ貝のうち、内側の縁が金色のもの(ゴールドリップ)から生まれるのがイエロー・ゴールド系の白蝶真珠です。ゴールデンパールと呼ばれ、その輝く金色から豊かさの象徴ともされています。身に着ける人の装いを一気に華やかにしてくれる真珠です。
黒蝶真珠の色

黒蝶真珠は、バリエーション豊かな色合いを楽しめる、南国タヒチを主な産地とする真珠です。名前に「黒」がついていますが、黒単色の真珠ではありません。黒蝶真珠の実体色は、母貝の持つ色素(赤系・緑系・黄色系)の配合によってひとつひとつ決まります。そこに干渉色が掛け合わされ、複雑な色を生み出しているのです。
黒蝶真珠の中では、深い緑色の実体色に赤色の干渉色を持つピーコックグリーンが有名ですが、その他にもグレーやブラウンといった色調を持つ黒蝶真珠もあり、どの真珠も独特の美しい色と輝きを生み出します。
真珠の色の価値を見極める「5つ」の方法とは

真珠の色は、真珠自身が持つ要素と、その時々の環境の要素の両方に影響を受けて決まります。そのため、全く同じ色を持つ真珠はなく、同じ真珠であってもその輝きは一瞬のものなのです。(※写真:無調色アコヤ真珠。左「ピンクの干渉色」〜右「グリーンの干渉色」)
1. 真珠の色を決めるもの
真珠の色を決めるものは、実体色と干渉色です。実体色とは、真珠そのものが持つ色のことで、アコヤ真珠なら黄色、黒蝶真珠なら黒など、真珠が持つ色素に起因します。
一方、干渉色とは、光の当たりかたによって生まれる色のことです。外側からの光が、真珠の表面だけでなく内面からも反射することで、奥深い色合いを生み出します。実体色と干渉色が複雑に絡み合い、真珠の色が生まれるのです。
2. 真珠の色は品質要素のひとつ
真珠の品質は、キズ・テリ・巻き・色・形によって決まります。この中でも、テリと巻きは干渉色に深く関係しており、巻きの厚さやテリによって干渉色は大きく変わります。
また、大きなキズがあるとテリにも影響するなど、真珠の品質は、ひとつひとつの要素が独立することはなく、それぞれが関係しあっています。
3. 希少価値のある色
ホワイト系のパールなら真っ白のもの、ゴールデンパールならより金色が濃いものなど、真珠の色によって希少性が高いと言われるものはあり、価値も上がります。
しかし、良い色だからという理由だけで最高級の真珠というわけではありません。先に述べたように、真珠はひとつひとつの品質要素が独立することなく、関係しあっているもの。真珠全体を見て高品質の真珠を選ぶことが大切です。
4. 自分にあった真珠の色
ジュエリーとは、そのものの価値だけでなく、身に着ける人にとっての価値観も大切です。
どれだけ希少価値があって高価なものでも、自分の好みに合わなかったり肌になじまなかった場合、ジュエリーとしての価値は半減します。自分が身に着けた時に幸せを感じ、人生の大切なシーンに身につけたい真珠の色を選ぶことが大切です。
5. 次世代につなぐ真珠の色
高品質な真珠は、子や孫の世代にまで引き継ぐことができます。真珠の色は耐久性にかかわることも多いことから、長く使える品質を重視して選ぶことが重要です。
将来、母が身につけていたシーンを思い出せる真珠は、時代を超えて高い価値を持つことでしょう。
やってはいけない!真珠のNGな買い方「4選」とは
様々な種類の真珠があることを知ると、何を基準に選んでよいか迷ってしまう人も多いことでしょう。ここからは巷で広がっている真珠の買い方で、やってはいけない真珠の4つの買い方をご紹介していきます。
1. 「花珠真珠=最高品質」の宣伝で買わない

鑑別機関が発行する「花珠鑑定」や「花珠鑑別」は、業界全体の統一された品質基準が存在せず、様々な品質の真珠が「花珠真珠」 として扱われています。このため、真珠業界が長年共有してきた「花珠」の価値観とは大きく異なる真珠が多数存在しています。
多くの花珠真珠では、真珠の「テリ・マキ」よりも「キズ・カタチ」が評価される傾向にあります。真珠の核が「真円」であるため、きちんと養殖された真珠は真珠層が厚く巻かれ、その結果、変形や天然傷が生じやすいという特徴があります。
上記の写真のように、左の真珠は「テリ・マキ」が素晴らしいにも関わらず、わずかな天然傷や変形により花珠真珠とは認定されません。それに対し、右側の真珠は「テリ・マキ」が良くないにもかかわらず、「無傷・真円」であるために花珠真珠とされます。
しかし、本当に美しい花珠真珠も多いことから「花珠鑑別=NG」ではありませんが、真珠のことを勉強せずに「花珠鑑別=最高品質」と安易に勧めているお店は避けたほうがよいでしょう。
花珠真珠については、以下の記事でも紹介しています。▶花珠真珠ネックレスは本当に最高品質?【花珠の鑑別書だけで買ってはいけない!】5つの理由とは
2. 「調色」「無調色」の情報だけで買わない

「無調色だから良い真珠」「加工されているものはだめ」など、調色・無調色などの言葉に惑わされず、自分の魅力を引き立ててくれる真珠を選びましょう。
調色と聞くと、人の手を加えていることからマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれませんが、調色は国際的に認められた加工であり、真珠の美しさを引き出す処理なのです。
3. 過度に「漂白・着色」された真珠を買わない

漂白や研磨は、程度の差はあれ、どのような真珠にも施されています。漂白をうまく行えば、真珠中のシミや不要な色が除かれて、綺麗な仕上がりになります。しかし、過度に漂白・研磨された場合、真珠層にひび割れや斑点ができたり、真珠の表面が荒れてしまうリスクがあります。
さらに、調色は国際的に認められた処理であるとはいえ、品質の劣る部分を隠すほどの「色の改変」は調色ではなく着色といえます。過度に色が改変された真珠は変色が早いなど、耐久性に問題を抱えている可能性があります。(※写真:真珠の肌荒れ・斑点)
4. 真珠のお手入れが苦手な店を選ばない

自然が生み出した真珠は、長く使っているうちにどうしてもわずかに変色したり、輝きが鈍くなったりと経年変化するものです。劣化を感じたら専門店で状態をチェックしてもらい、必要な時には専門店でメンテナンスしてもらいましょう。
糸替えやリフレッシュ加工することで、購入した時の色と輝きを長く楽しめます。真珠は知識が豊富な専門店で買うことをおすすめします。
真珠の色と光にこだわるブランド

ふたつとして同じ色や輝きを持つものがない真珠は、自然が生み出した素晴らしい宝石です。
そして、身に着けることで自分に自信を持てたり、気持ちが明るくなったりするジュエリーこそ、その人にとっての価値あるジュエリーと言えるでしょう。だからこそ、自分だけの真珠を選ぶ時間は、心が躍る時間です。
ERIS VERINA(エリス ヴェリーナ)では、美しい色と光にこだわって厳選した無調色真珠をご用意しています。ぜひ、人生を共に歩む唯一無二の真珠との出会いを楽しんでくださいね。
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