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真珠市場で品質の高い真珠として広く使われている「花珠真珠」という呼称。花珠真珠とはどのような真珠で、誰がどのような基準で通常のアコヤ真珠と鑑別しているのでしょうか?
「花珠真珠だから最高品質」という認識は、正しいのでしょうか?今回の記事では、一般消費者の誤解を生みやすい花珠真珠について解説します。
真珠の品質については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
▶真珠の品質は何で決まる?色・巻き・光沢(テリ)など、真珠の価値が決まる8項目を徹底解説
そもそも花珠真珠とは?
花珠真珠(はなだましんじゅ)と聞くとアコヤ真珠やシロチョウ真珠のような真珠の一種であるように聞こえます。しかし、花珠真珠は一定の品質基準を満たした上質のアコヤ真珠のことで、花珠真珠という種類の真珠があるわけではありません。品質の高いアコヤ真珠を他の真珠と区別する呼称として、花珠以外にも真珠鑑別機関によって様々な名称があります。
美しい真珠が「花珠」と呼ばれる理由
花珠という名称は、古くから真珠養殖業者や入札者の間で広く使われてきた用語です。もともとは、浜揚げされた多くの真珠の中から、無傷・真円・厚巻き・美しいテリのとび抜けて目立つ美しい真珠のことを「花珠」と呼んでいました。
花珠と呼ばれる真珠の出現率は1%未満と大変低く、花珠が含まれていることでそのロット全部の品質が高いと見なされ、真珠価格を左右する影響力がありました。花珠真珠は熟練者による目視判断で決定されるもので、客観的な判定基準はありませんでした。
花珠真珠の定義は曖昧
花珠真珠は熟練者の目視判断のみで決められていましたが、消費者が真珠の品質を容易に判断できるようにと、1990年代になると複数の真珠鑑別機関が誕生しました。各鑑別機関は独自のスケールによって、アコヤ真珠のグレーディングシステムを確立しました。現在、真珠を鑑定する機関は複数あり、鑑別機関によって何をもって花珠真珠とするかの基準はまちまちです。
ある鑑別機関で花珠と鑑別された真珠が、他の鑑別機関では「花珠ではない」とされるケースもあります。また、鑑別機関によっては花珠のさらに上のグレードがあるため、花珠真珠だからと言って必ずしも最高品質のアコヤ真珠であるとは言い切れないのです。
花珠真珠を多く見かける理由
本来は「出現率が低く、非常に美しい一粒の真珠」だったはずの花珠真珠ですが、現在の真珠市場では花珠として販売されているパールジュエリーは決して少なくありません。
近年、花珠真珠を多く見かけるようになったのはどうしてなのでしょうか?これは、「花珠真珠=最高品質のアコヤ真珠」という認識が一般に広がって、花珠真珠を求める消費者が増えてきたからとも言えます。花珠真珠を求める消費者のニーズに合わせて、真珠販売店が積極的に鑑別機関を利用し、花珠真珠の鑑別書が発行された真珠を販売しているのです。
花珠真珠=最高品質の真珠ではない5つの理由
花珠真珠を最高品質の真珠として販売する業者が多い中、「花珠真珠が最高品質の真珠で、花珠真珠を買えば間違いない」と考えている消費者も少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。花珠真珠が最高品質の真珠ではない5つの理由を、詳しく解説していきます。
1.本来、鑑定(グレーディング)が行えるのはダイヤモンドだけ
そもそも、宝石の中で鑑定(グレーディング)が行われ鑑定書が発行されるのは、天然のダイヤモンドのみ。ダイヤモンドはカラー・カット・クラリティ―・カラットの「4つのC」という鑑定項目において、絶対的な数値で鑑定されます。
ダイヤモンド以外の宝石では、鑑定書ではなく鑑別書が発行されます。鑑別書は宝石名・鉱物名・天然か人工か・重さ・処理の有無など、検査で得た科学的なデータをもとに作成されたもので、品質評価は行ないません。
現在の真珠市場では、花珠真珠である証明として鑑定鑑別書が発行されています。これは、
- 「鑑定(=グレーディング)を行うのはダイヤモンドのみ」
- 「鑑別書には科学的データのない用語、呼称は記載しない」
という、世界の宝飾業界の長年のルールに反したものであると言えます。本来は品質鑑定されるべきではない真珠に対し、世界共通の鑑定基準があるダイヤモンドの鑑定書に似た鑑定鑑別書を発行することは、真珠の評価や価値について消費者の誤解を招く一つの要因となっています。
2.鑑別機関が複数あり、鑑別基準が曖昧
前述した通り、真珠を鑑定する機関は複数あり、各機関の独自のスケールによって傷・形・光沢(テリ)・巻き・色・仕上げなどを評価しています。真珠業界として統一された品質基準はないため、ある鑑別機関では花珠でも他の鑑別機関では花珠ではないとされることも少なくありません。
花珠真珠であるかどうかの基準が鑑別機関によって異なり、ある鑑別機関が「これは花珠である」と言えば、現状ではどんなアコヤ真珠でも「花珠真珠」として販売できるのです。花珠真珠の鑑別基準が曖昧である以上、花珠真珠という呼称は最高品質の真珠であることを証明するものでは決してありません。
3.真珠の評価が傷と形に偏重している
真珠の評価項目には傷、形、光沢(テリ)、巻き、色、仕上げなどがありますが、多くの鑑別機関では「真円であること」と「無傷であること」を重視する傾向にあります。真珠養殖では真珠貝の中に真円の核を入れ、長い年月をかけて核の周りに真珠層を形成させます。
このため、高く評価されがちな真円で無傷の真珠は、養殖期間が短く、真珠層が薄い可能性もあります。巻きや光沢は一歩及ばなくても、無傷で真円なら花珠鑑別で高く販売されるとなると、養殖期間を短くし、巻きや光沢の少ない真珠が増える危険性があります。
しかし、真珠は宝石であり、最も大切なのは美しさです。真珠独特の光沢が魅力であり、核が真円なため、オーバルなど多少変形した真珠の方が、よく巻いていて奥行きのある光沢で美しい場合が多いのです。
4.真珠の光沢(テリ)は絶対値で評価できない
真珠の美しさは、傷、形、光沢(テリ)、巻き、色、連相が複雑に絡み合って形成されます。特に真珠の光沢(テリ)は、数値化することができず、その奥行きの深い輝きは、人間の目によってのみ判別可能です。
ダイヤモンドには4Cという数値化された明確な評価基準がありますが、真珠の美しさは様々な要素が深く組み合わさって作られるため、絶対的な数値では評価することができません。
5.真珠のトップブランドには花珠が存在しない
世界的に有名な国内の2大パールブランド「ミキモト」と「TASAKI」では、花珠真珠の販売は行っていません。鑑別機関による鑑別書が重要で、花珠と鑑別された真珠が最高品質であるとされるならば、これらの世界的な高級パールブランドが花珠鑑別書付きの真珠を販売しない理由は考えられません。
さらにERIS VELINAでは、花珠鑑別よりも「巻きの厚さ」や「光沢の美しさ」を重視しています。花珠と鑑別されない「小さな天然傷がある真珠」や「オーバルなどの変形した真珠」は、むしろ真珠がしっかり養殖された証です。また、花珠鑑別が付かないことで、美しい真珠が花珠真珠よりもリーズナブルに買うことができるのです。
花珠表記や鑑別書に惑わされない真珠選びを
かつて真珠業界で「花珠」と呼ばれていた真珠は、アコヤ真珠の中でグレードの高いことさら美しい真珠で、総生産量の1%にも満たない大変希少価値の高いものでした。
現在、花珠真珠と呼ばれて販売される真珠が増えてきており、「花珠」という言葉が本来の意味からかけ離れた意味で乱用されている状況です。真珠の美しさや価値は複数の要素が複雑に組み合わさって作られるもので、ダイヤモンドの4Cのように数値だけで判断できるものではありません。
ERIS VERINA(エリスヴェリーナ)では、わずかな変形や天然の小キズのある真珠も個性のひとつとして考えており、巻きの厚さやテリの美しさを重視しています。
小さな傷や変形があるために花珠と鑑別されない真珠の中には、巻きが厚くテリの美しい真珠はたくさんあるのです。花珠表記の広告宣伝に惑わされることなく本当に素晴らしい真珠を手に入れたい方は、ぜひERIS VELINAにご相談ください。
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