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パールジュエリーとひとことで言っても、その種類や魅力はさまざまです。
中でも「ケシパール」は、偶然と自然の奇跡が生んだ一点ものの美しさを宿す、特別な存在です。不揃いなフォルムや輝きは、同じものが二つとない個性の証。
この記事では、ケシパールの特徴、種類、天然と養殖の違いや価値、他の真珠との違いについて詳しくご紹介します。
なお、真珠の種類については以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
▶︎【真珠の種類】養殖・天然真珠の名称を一挙紹介!シーン別に選びたい真珠の種類やパールネックレスとは
ケシパールの基本知識
ケシパールは、一般的な真珠とは異なる成り立ちと形状を持つ、ユニークな魅力を持った真珠です。ここでは、ケシパールの特徴や、名前の由来、養殖と天然の違いについてご紹介します。
ケシパールとはどんな真珠?
ケシパールとは、養殖真珠の過程で偶然に生まれる、核を持たない真珠のことです。ケシパールは、あらゆる種類の真珠に見られ、非常に小さなサイズが特徴です。
通常の真珠は、真珠貝に丸い核を挿入して作られますが、ケシパールは貝の中に入った砂や虫などに真珠層が巻き付けられて成長します。そのため、形は不定形で個性的であることが魅力です。
また、ケシパールは核が入っていないため、ほとんどが真珠層でできており、表面のテリ(光沢)が素晴らしく、耐久性にも優れています。
ケシパールの名前の由来と歴史
「ケシ(芥子)」という名前は、その小さなサイズが芥子の実に似ていることに由来しています。
日本では古くからこの呼び名で親しまれ、特にアコヤ貝から産出されるケシは薬用として国内外で珍重されていました。
アコヤ貝に核を挿入して真珠を養殖する技術は、約100年前に日本で世界に先駆けて発明されました。
それ以前に流通していた真珠はすべてケシパールであり、その歴史は非常に古く、『万葉集』には「しらたま」「あわびだま」「まだま」などの名でたびたび登場します。
ケシパールは、人種や国境を越えて愛され、数千年にわたって人々の心を魅了し続けてきた宝石です。近年では、海外でも“Keshi Pearl”として注目を集めています。
ケシパールの養殖と天然の違いとは?
「ケシパール」とは、もともと天然に産出される小粒の真珠を指す言葉でした。その後、真珠の養殖が始まると、養殖中に偶然生まれた無核の真珠も同様に「ケシ」と呼ばれるようになりました。
現在は「天然」と「養殖の副産物」の両方を含む言葉として「ケシ」が広く使われています。
真珠業界で定められた『真珠指針2020』では、ケシパールは「海水産の無核真珠で、養殖の副産物」と定義されています。天然ケシは、自然に異物が入り真珠層が形成されたもので、人の手が加わっていません。
一方、養殖ケシは、核を入れても排出されたり核が形成されなかった場合に偶発的にできるものです。
1997年、CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)は定義を見直し、淡水無核真珠との混同を避けるため「海水産の養殖副産物」に限定しました。
さらに、養殖後に核を除去した真珠は、たとえ無核でもケシと認められていません。 現在では、真珠の判別が難しいことから、鑑別団体協議会(AGL)は「厚さの最大径が3mm以下のもの」を「ケシ」と表記するなど、明確な基準が設けられています。
ケシパールの種類と特徴
ケシパールと一口に言っても、その母貝の種類によって色味やサイズ、質感はさまざまです。ここでは代表的な5種類をご紹介します。
アコヤケシパール
日本で主に養殖されているアコヤ貝から生まれるケシパールです。サイズは小粒で、強いテリ(光沢)が特徴です。
繊細で上品な輝きを放ち、可憐な印象を与えるジュエリーに仕立てられることが多く、日常使いからビジネスシーンまで幅広く活躍します。
アコヤパールについて詳しくは▶︎アコヤ真珠の見分け方【決定版】品質・値段・寿命の疑問をプロが解消!後悔しない選び方とは?
砂ケシパール
ケシパールの中でも特に小さく直径1mm以下のものは「砂ケシ」と呼ばれています。まるで砂粒のような極小サイズに、職人の技術で精密に穴を開けて糸通し加工を施します。
現在では日本国内での加工が困難とされており、その希少性と芸術性の高さから非常に価値のあるパールです。
クロチョウ ケシパール
タヒチなどに生息する黒蝶貝から生まれるケシパールです。ブラックやグレー、グリーンをはじめ、ピスタチオ、ブルー、ブラウン、レッド系など、多彩なカラーバリエーションが魅力です。
ボリューム感のある不規則な形が、存在感と個性を際立たせ、スタイリッシュな装いにも映えるジュエリーとして人気があります。
クロチョウ真珠について詳しくは▶︎黒蝶真珠は「黒真珠」と違う?どこで買う?正しい選び方からネックレスやペンダントの使い方まで解説
南洋シロチョウ ケシパール
オーストラリアなどに生息する白蝶貝(シルバーリップ)から生まれるケシパールです。柔らかなホワイトやシルバーの色味で、比較的大粒のものが多いことが特徴です。
存在感のあるジュエリーに仕立てられることが多く、結婚式や入学式などお祝いの席にも着用いただけます。
シロチョウ真珠について詳しくは▶︎【白蝶真珠とは】アコヤ真珠との違いと、シロチョウパールの種類・選び方・活用シーンを解説
南洋ゴールデン ケシパール
白蝶貝の中でも、貝殻の内側が金色の「ゴールドリップ」から生まれるケシパールで、フィリピンやインドネシアなどに生息しています。
黄金色の輝きを放つゴールデンケシパールは、華やかさと希少性を兼ね備えており、ラグジュアリーなジュエリーをお探しの方におすすめです。
ゴールデンパールについて詳しくは▶︎ゴールデンパールの価値を徹底解説!天然色と染色ゴールドの見分け方やおすすめコーデも紹介
ケシパールと他の真珠との違い
ケシパールの魅力をより深く知るためには、他の真珠と比較することが有効です。
ケシパールと淡水パールの違い
淡水パールは主に中国で養殖されており、母貝が大きいため、一度に数十個の真珠が採れることもあります。そのため、比較的手頃な価格で流通しているのが特徴です。
また、淡水パールは無核養殖で、核の代わりに細胞片を挿入して育てられます。そのため形状は多様ですが、ケシパールのような希少性や個性はあまり見られません。
一方、ケシパールは海水産で、養殖中に偶然生まれる核のない真珠です。海水で育つ真珠は、母貝が小さく基本的に1つの貝から1珠しか採れないため、必然的に生産量が限られます。
偶然性と希少性が重なり、一粒ごとに異なる表情を持つ海水ケシパールは、特別な価値を持つジュエリーとして高く評価されています。
淡水パールについて詳しくは▶︎淡水パールはなぜこんなに安い?【3大理由と本当の価値】普段使いの魅力も徹底解説!
ケシパールとベビーパールの違い
ベビーパールには明確な定義はありませんが、一般的には2〜6mm未満の小粒なアコヤ真珠の総称として使われています。
ベビーパールは有核アコヤ真珠で、整った丸い形と均一なサイズ感が特徴です。フォーマルな場にも映える上品さがあり、ネックレスやピアスとして高い人気を誇ります。
一方、ケシパールは核を持たず、形も不規則。同じサイズであっても、一粒一粒に個性があり、ナチュラルで芸術的な印象を与える真珠です。
また、ベビーパールは単に「小さな真珠を採ればよい」というものではなく、限られた自然環境と高度な養殖技術によってのみ生産が可能です。そのため、ケシパールと同様に、非常に高い希少価値を持つ真珠といえるでしょう。
ベビーパールについて詳しくは▶︎ ベビーパールネックレスとは?普段使いや一粒パールとの相性抜群の注目ジュエリー
ケシパールとバロックパールの違い
ケシパールとバロックパールは、どちらも個性的な形状を持つ真珠として人気ですが、その成り立ちに大きな違いがあります。
ケシパールは核を持たない無核真珠で、偶然入り込んだ異物を中心に真珠層が形成されます。
一方、バロックパールは核を持つ有核真珠で、球形の核の周囲に真珠層が付着する際の変形や異物の影響で不規則な形になります。
つまり、ケシパールは最初から不定形であり、バロックパールは本来球体として形成される中で偶発的に形が崩れたものです。
両者ともに唯一無二のフォルムが魅力ですが、構造の違いによって輝きや質感にも個性が表れます。
バロックパールについて詳しくは▶︎バロックパールとは?その魅力とコーディネートのコツ
ケシパールの魅力と価値
ケシパールが多くの人を惹きつける理由は、その美しさだけではありません。偶然性から生まれる唯一無二のフォルム、限られた職人しか扱えない加工技術、そして近年のジェンダーレスな感性にもマッチする新たなスタイルとしての魅力です。
ここでは、そんなケシパールが持つ特別な価値について、3つの視点からご紹介します。
一粒ごとに異なる形と輝き
ケシパールの最大の魅力は、その唯一無二の個性にあります。
核を持たず、偶然によって自然に形成されるため、一粒として同じ形のものは存在しません。丸みを帯びたもの、しずく型、ユニークなひねりや凹凸を持つものまで、そのフォルムは多種多様。
加えて、真珠層の重なりが生み出す柔らかな光沢や奥行きのある輝きも、形状により表情が異なります。
この“世界にひとつだけのフォルム”という特別感は、真円真珠では決して得られない魅力であり、持ち主だけの価値あるジュエリーとして、愛着を深められるでしょう。
加工の難しさと高価格化の背景
ケシパールはその美しさゆえに高い人気を誇りますが、実は加工に高度な技術が必要とされる非常に繊細な素材です。形が不規則で小粒なため、穴をあけて糸を通す作業にはミクロン単位の精度が求められます。
従来は日本国内でも加工されていましたが、現在では技術者の減少や設備の関係から、国内での加工がほぼ不可能になりました。
限られた熟練職人によって海外で丁寧に加工されることが多く、時間とコストがかかることから、完成品として市場に出回る数はごくわずかです。
そのため、ケシパールを使ったジュエリーは自然と高価格帯となり、同時にその価値の高さも証明されています。
メンズパールとしても人気
近年、ケシパールは男性の間でも静かな人気を集めています。性別にとらわれず自分らしい装いを楽しむ「ジェンダーレスファッション」の広がりとともに、パールジュエリーの選択肢が多様化しています。
中でもケシパールは、丸く整った真珠とは異なり、不規則なフォルムやリッチな光沢が、男性の装いにも自然に馴染みます。ネックレスやピアス、カフリンクスなどにアレンジすれば、控えめでありながらも確かな個性を演出できます。
ケシパールは、大人の男性にこそふさわしい“品格と遊び心”を兼ね備えたジュエリーとして、注目を集めています。
まとめ:世界にひとつだけのケシパールジュエリーで自分らしさを
ケシパールは、偶然が生み出す自然の芸術品。その不規則な形と繊細な輝きには、ひと粒ごとに異なる個性が宿っています。だからこそ、誰かと同じではなく“自分らしさ”を大切にしたい方にぴったりのジュエリーです。
ERIS VELINA(エリスヴェリーナ)では、ケシパールの美しさを引き立てる無調色パールネックレスも多数ご用意しております。
上品で洗練された輝きを持つ無調色パールは、ケシパールと組み合わせることで、より深みのあるコーディネートをお楽しみいただけます。
シンプルでありながら存在感のある「一粒パールネックレス」も、ケシパールとの相性が抜群。ぜひ、あなただけの特別なパールジュエリーを見つけてみてください。
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